甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
「熊澤先生の5つ下の信(のぶ)さん。先生にお世話になってる頃からここには良く来てたんだ」
「そうだったんですね。あ、私に紹介したいって言ってたのは…」
「うん、驚くかと思って」
「ビックリしました。すごく似てらっしゃいますね」
「でしょ」
イタズラが成功した子供のように無邪気の笑う九条先生。そんな笑顔は初めて見た。
プライベートな場所だからこそ出る、きっと職場では見せないであろう表情を知り、連れてきてもらって良かったと嬉しくなる。
信さんが「お待たせ」と中華そばを出してくれたので、鞄のサイドポケットからゴムと取り出し、肩につく程度の髪を後ろでひとつに結んだ。
その仕草をじっと隣から先生が見つめている。
もしかして食べるの待ってくれてるのかな。申し訳なくて小さくぺこりと先生に頭を下げてから「いただきます」と両手を合わせた。
早速スープから頂く。出汁の香りが鼻孔を擽り、私の拙い舌では何が入っているのかなんて全くわからないけど、なんだか複雑な味がする。
とにかくスープだけでも素晴らしく美味しい。
細麺と、見るからに柔らかそうなチャシュー、白ネギとメンマというシンプルなのが逆に高級感漂う一品で、半分以上無言で食べてしまった。
「で、紹介してくれないの?悠くんと兄貴のお気に入りちゃんのこと」
信さんの一言でようやく我に返り、九条先生のお知り合いでクマ先生の弟さんだという店長さんにご挨拶もしていないことにようやく気付く。