甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
「すみません!美味しすぎて夢中で食べてしまって…。瀬尾遥です。熊澤先生と九条先生にはいつもお世話になっています」
一旦箸をラーメンどんぶりの手前に置いて、ぺこりと会釈する。
「熊澤信です。うちの味は気に入ってもらえたかな?」
「はい!とっても美味しくて!こんなに美味しい中華そば食べたの初めて…」
上品に澄んだスープに視線を移してうっとり呟くと、「遥ちゃん、素直でいい子だなぁ。兄貴のお気に入りって納得だよ」と笑った。
「今回熊澤先生の代理で現場に入ったんですよ。その依頼の電話でも『遥ちゃんはすごくいい子で気が利いて可愛い』って大絶賛」
九条先生まで笑ってそんなことを言うから、私はどう反応したらいいのか分からず「ありがとうございます」と小さく返すしか出来なかった。
食べ終わっても信さんのご厚意ですぐにお店を出なくても大丈夫だというので、カウンターに座ったまま九条先生と休憩時間をここで過ごすことにした。
「先生、海外留学から帰ってきたばかりなんですよね。5日間全部出てもらって大丈夫なんですか?お疲れですよね」
今さらとは思いつつ、さっき九条先生が先月末に帰国したと話していたのを聞いて驚いたので確認してみる。今日は5月2週目の金曜日。まだ帰国して10日しか経っていないことになる。
「うん。健診は久しぶりだし新鮮で楽しいよ。こうして瀬尾さんとも知り合えたしね」
漫画ならウインクと共に言われそうな甘い台詞にクラっとしてしまう。