甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
私が先生の持とうとしていた自分の身長と変わらない長さのポールが入った袋を肩に担ぐようにして持つと、なぜか驚いたような顔で見つめられている。
いくら身長が平均より低いとはいえ、私だってこれくらい持てるのに。そんなに驚かれるのはちょっと心外だなぁ。
なるべく気にしないようにして、ガシャガシャと音を立てながらポールをエレベーターの前まで運んで下ろすと、また車の前まで戻って台車に乗り切らなかった別の荷物を持つ。
「瀬尾さんはこれを持ってくれる?」
すると、九条先生から直径1センチ程の穴が並んだA4サイズの黄色いスポンジに小さな試験管が挿してある採血セットを渡される。重量にしたらバスタオルよりも軽い。
うっかり開いていた左手で受け取ると、私が右手に持っていたパーテーション用のカーテンが入ったボストンバッグを九条先生に取られてしまった。
「先生…」
「いいから。それだって大切なものだ。落とさないで持っていって」
スマートに重たい荷物を持ってくれるなんて、大人の男性って感じがする。
「あの、ありがとうございます」
「どういたしまして」
しっかりと目を合わせて微笑まれ、再びイケメンの微笑みの破壊力に顔を真っ赤にしてしまう。
また顔を覗き込まれてはたまらないと、私はエレベーターホールまで早足に荷物を運び込んだ。