甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
どうしてだろう。
先生に対してドキドキして心臓が壊れそうになったりするのに、こうして優しく話を聞いてくれるおかげか、つい自分のことをたくさん話してしまう。
「はい。『この人になら運命を変えられてもいい』って思えた人に、ピアスを開けてもらおうって」
「……なるほど」
九条先生はちょっと言葉に詰まったあと頷き、コップの水に手を伸ばした。
「あ、あと身体に穴開けるんだからきっと痛いですよね。だから『この人から与えられる痛みなら受け入れられる』って信頼できる人じゃないと開けられないかも」
「ごほ…っ」
「え、あ、大丈夫ですか?」
飲んでいた水で噎せてしまったのか、先生がケホケホと咳き込む。ためらいがちに背中をそっと擦ると、口元を手で覆いながら「ありがとう」と大きく息を吐いた。
「いやぁ、やっぱいいね遥ちゃん。今どき超が付くほど純粋だねぇ。俺も気に入っちゃったよ」
私達のやり取りを聞いていたのか、信さんはなんだかニコニコしてカウンターの中から私を見ている。
ピアス開けてないのって、そんなに珍しいかな。確かに私の周りの友達も開けてたし、朱音ちゃんとか織田さんも可愛いピアスをしていた気がするけど。
「遥ちゃん、彼氏は?」
「…信さん、それセクハラですよ」