甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

九条先生が呆れた声で信さんを制してくれる。

「えー、だって気になるじゃん」
「残念ながら、今はいないんです」

これくらいでセクハラだなんて思わないので、正直に答えた。信さんはクマ先生に似ているせいか、なんだか安心感が合ってリラックスして話せる。

「今はってことは前はいたんだ?」
「そうですね」
「へぇ。何で別れちゃったの?」
「信さん」
「だってー」

またしても九条先生に窘められて口を尖らせている信さん。これじゃどっちが歳上なのか分からない。
可笑しくてクスクス笑いながら「大丈夫ですよ」と先生に伝えた。

「何ていうか、いわゆるダメ男という人だったので…」

大学に入って少しして、彼から告白してきてくれた。最初は友人からはじめて、2年に進級した頃から付き合い始めた。

高校の時も幼いながら恋愛はしていたけど、キスのその先を許したのはこの人が初めてだった。

でも付き合っていくうちに、お金の管理がだらしなかったり、時間にルーズなところに目を潰れなくなって、大学を辞める少し前に関係を終わらせた。

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