甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

1人頭の中でパニックになっていると、またまた「信さん」とため息交じりに九条先生が助けに入ってくれる。

「瀬尾さんを気に入ったのはわかりましたから、困らせないであげてくださいよ」

苦笑しながら信さんを制して、私に「ね?」と視線を投げてくる。
そんな先生にキュンとしてしまい、私は何を信さんに乗せられて意識しちゃってるんだと自分を戒めなくてはならなかった。


「あの、やっぱり自分の分は払います」

信さんにお礼を告げて『麺屋つむぎ』を出た後、私はもう1度九条先生に食い下がった。

そろそろ休憩時間の終わりが近付き、お手洗いに行ってから名取フーズへ戻ろうと会計をお願いすると、私が席を立っている間に九条先生が支払ってくれていた。

1度自分で払うと主張したのを退けられ、さすがに店内で押し問答するのもと考えて「ごちそうさまでした」と伝えたものの、2日連続で奢ってもらう理由がない。

初日に社食に行った時は、早見さんから貰った無料チケットがあったのでそれを使用した。

しかし昨日は、先生がついでだからと私の分までまとめて払ってくれたのだ。

確かにみんなでお昼休憩に出る少人数の現場だと、先生が全員分支払ってくれたりする時もあるにはある。

でも今の状況はそれとは違う。九条先生は代理で来てくれただけだし、私だけ奢ってもらうなんて…。

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