甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
「なにそれ!九条先生とデートってこと?!」
「ちょっ、朱音ちゃん声大きい!」
土曜日のお昼。朱音ちゃんと待ち合わせしたのは、日本で1番乗降車率の高いと言われるターミナル駅。
駅直結の大きなショッピング施設の8階にあるレストランフロアで、私はハンバーグを食べていた。
「それにデートじゃないよ」
「いや、デート以外の何モノでもないでしょ!」
朱音ちゃんはチキン南蛮を口に放り込みながら、なぜか当事者の私以上に興奮している。
「やっぱり織田さん達も言ってた通り、九条先生は遥ちゃん狙いだったか」
「だからね、違うんだってば」
「で?」
「『で?』って?」
珍しく人の話を全然聞いてくれない朱音ちゃんが、身体を乗り出してずいっと迫ってくる。あまりの迫力に、私は椅子の背もたれに身を引いた。
「遥ちゃんは九条先生をどう思ってるの?」
「どうって言われても…」
昨日も信さんに聞かれた。
『ならさ、悠くんはどう?』
そんなこと聞かれたって、私と九条先生じゃ全く釣り合わない。
見た目や職業もそうだし、年だってかなり離れてるだろうし、恋愛対象にだって入らなさそう。
だからこそ何の気まぐれで私を誘ってくれたのか、謎は深まるばかり。