甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

私、瀬尾遥(せお はるか)が所属する中央健診センターは『公益財団法人 健康推進会』に属し、他に都内に研究所、病院が3つ、介護センター2つと全国に点在する支部に並び、国民の健康増進に貢献するというビジョンのもと、企業や学校での巡回による健康診断を実施し、地域医療の活性化に貢献している。

C健と略して呼ばれるこの職場で、私は出張健診部の事務アルバイトという立場で、こうして色んな会社や学校を医療従事者の方々と共に訪れ、健診の手伝いをするのが仕事。

名取フーズという会社を訪れるのは初めてだ。
基本毎年2回、だいたい春と秋の同じ時期に健診を入れる企業がほとんどなので、1年勤めていれば行ったことのある現場に当たることも多い。

しかし今日は、今年から新規で契約を結んだ企業なため、私だけでなく全職員が初めての場所での健診となる。

やることはどの現場でも同じとはいえ、初めての場所で、社員さん達もうちの健診を受けるのは初めて。
混乱が起こらないように段取りよく進めなくてはと気合が入る。


名取フーズのビルは12階建てで、7階がワンフロアすべて大小の会議室になっている。
そのうちのいくつかを借りて、ここで働く社員さんの健診をするのだ。

まずは事前にプリントアウトしてきた図面を見ながら、どの会議室で何の検査を行うかを確認しながらパーテーションを組み立てたり、机を借りて簡易ベッドを作っていく。

身体測定や視力検査、血圧測定や採血なんかは1番大きな会議室を運び込んだ組み立て式のパーテーションで区切り、心電図や腹囲測定という肌を露出するような検査や、個人情報を話す医師の問診などは小さな会議室に個室で準備する。

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