甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
助手席のドアを開けてもらい「お邪魔します」と緊張しながら乗り込む。
当然ながらこんな高級車に乗ったことはなく、それどころか母も車を持っていなかったから車に乗ること自体が久しぶりで、土足で乗って良いのかすら不安になった。
慣れないシートベルトにもたついていると、「ちょっとごめんね」とセンターコンソールを越えて九条先生が私に覆いかぶさるように身を乗り出してきた。
「ひゃ…っ」
「これでよし」
シートベルトをつけるのを手伝ってくれただけなのに、変に驚いて声が出てしまった。
きっとそんな私に気付いているけど、小さく微笑むだけで口にはしない九条先生はやっぱり紳士的で素敵。
車が動き出し、ハンドルを握る先生をじっと見つめてしまう。普段見られるのは緊張するけど、運転中なら先生は前を見ているから私だけ見放題。
何度見ても、どの角度から見ても綺麗な顔だなぁ。
朝早く起きていつも以上に頑張ってメイクしてみたけど、何もしないでこのクオリティな先生が隣にいると、なんだか虚しくなりそう。
あまり深く考えるのはやめておこう。