甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

九条先生が予約を取ってくれていたのは、オフィスビル上層階にある高級イタリアンレストラン。

22歳の小娘が入って良いのか躊躇ってしまうほどオシャレな雰囲気のお店で、思わず「この恰好で入っても大丈夫ですか?」と先生に確認してしまった。足元なんてスニーカーだし。

「もちろん。可愛いから大丈夫」

不安がる私をよそに本日3度目の『可愛い』を浴びせてくる先生に、思わず「そういうことじゃなくて!」と突っ込む。

まだ出会って日の浅い男性と、こんなラフなやり取りをしているなんて信じられなかった。


パスタランチのコースは前菜から盛り付けも綺麗でため息が漏れる。

大きな白いお皿は金の縁取りで、もうそれだけで庶民には高級そうに見える。その中央に少しだけ盛り付けられる料理は、どうやって食べたらいいのかもわからず、恥を忍んで正直に先生に聞いた。

そんな私に呆れるでもなく、先生は「気にせずに好きに食べて大丈夫」と微笑んだ後、綺麗な所作でゆっくり食べて、私にお手本を示してくれた。

紳士的でますます惹かれていく気持ちをなんとか落ち着けながら、真似して食事を進めていく。

メインのパスタはトマトベースなのにいつも食べているものと段違いに美味しくて、もしかしたら私が知っているのは別料理なのではと疑いたくなるほど。

デザートのティラミスにはバニラアイスが添えられていて、ほろ苦いケーキとの相性が抜群だった。

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