甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
その後は、同じ敷地内にあるショッピングモールに移動し、お互いに見たいショップがあれば足を止めて入った。
先生の今日のお目当ては夏服だそう。
海外から帰ってくる時に、シェアハウスしていた同僚に家具から服まで遠慮なく持っていかれたと笑って当時のことを教えてくれた。
「シェアハウスだったんですか」
「医者はなかなかハードだからね。慣れない土地の1人暮らしで家を管理するなんて、俺にはとても無理だった」
留学先のドイツではシェアハウスは珍しくないらしい。人見知りの私には到底出来ないだろうけど、楽しそうな思い出話に聞いているだけでワクワクさせられた。
「掃除とか洗濯はみんなで協力しあってなんとかなったんだけどね。料理だけは誰も出来なくて悲惨だったな」
「食事はどうしてたんですか?」
「だいたい外で食べるかデリバリーかな。一緒に住んでたのはみんな同じ医者だったから、あっという間に食事が終わる」
「ふふ。職業病は各国共通なんですね」
名取フーズの社員食堂で一緒にお昼を食べた初日のことを思い出した。
あの初日以来、先生は私の食べるスピードに必ず合わせてくれる。本当に気遣いのできる人だと感心してしまう。
先生がよく利用するというアパレルショップに入ると、驚くほどのスピードで買い物を済ませていく。
私に気を遣ってゆっくり見れないのではと思ったけど、どうやらそうではないらしい。