甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「からかわないでください…」

大きなウニで顔を隠して、その柔らかい長い手で先生の腕をつんつんして反論する。

「あははっ、それ可愛すぎる」
「ウニが、ですよね」
「瀬尾さんが」
「もうっ」

今度はつつくだけじゃなく、ウニの手でぺしっと先生の腕を叩いた。
それにも先生は楽しそうに笑っている。

「さ、じゃあその子をレジに持っていこう。他に買うものは?」

ひとしきりからかって満足したのか、先生が私をレジに促す。

「あ、待って下さい。この大きさはちょっとお高くて…」

わりとお手頃な雑貨も置いている中、このウニは少し価格設定が高め。
小さいのは手が出せたけど、この1番大きい子を買うにはちょっと勇気がいる。

買う気もないのにお店に入って抱っこまでするなんて、あんまり褒められた行動じゃないのはわかってる。

もしかして、先生も呆れちゃっただろうか。

そう思って上目遣いで見つめると、「プレゼントするよ」とウニを持ってレジへ進んで行こうとする先生。

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