甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

それを必死に押し留めて、今度はウニを使わずに自分で反論した。

「待って下さい!」
「ん?これが欲しかったんだよね?」
「そうですけど、強請った訳じゃありません。いつか自分でお金をためて買います」

ランチまで奢ってもらった上、この子まで買ってもらう理由がない。

「この大きさのは日本だとこのお店にしか置いていないんだよね?」
「はい」
「今買っておかないと、売り切れちゃったら後悔しない?」
「それは…。でも…」

きっと無くなってしまったらショックで寂しくなるのはわかりきっている。でも今すぐ買えるかといえば、答えはNOだ。
無計画に衝動買い出来る値段じゃない。少なくとも私にとっては。

何も言えずにいると、九条先生は良いことを思いついたと瞳を輝かせた。

「じゃあこれは俺が買って、車に乗せておくことにしよう」
「…え?」
「瀬尾さんがいつかお金を貯めたら、俺から買ってくれたらいい」
「そんな…」

申し訳ないと思いつつ、この大きいウニが先生の真っ赤なスポーツカーの助手席に座っているのを想像すると可愛くて頬が緩んでしまった。

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