甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
そんな私の表情を見逃さず、九条先生は大きく頷いた。
「よし、決まりだね」
「先生、ありがとうございます。早めに買えるように頑張りますね!」
ちょっと流されてしまっている感じが否めないけど、せっかくの厚意だから有り難く受け取ることにした。
ちゃんとお金を払うなら、きっと問題はないはず。
ぎゅっとウニを抱きしめて、毎月少しずつウニ貯金をしようと心に決めた。
自分より少し小さいだけの巨大なぬいぐるみ。
いつかベッドで一緒に寝られる日がくると思うと、今後の節約生活も乗り切れそう。
すると九条先生が、ふと真剣な眼差しでこちらを見ていることに気が付いた。
「先生?」
「君がお母さんのために必死に働いていたのを否定はしない。でもこれを買うためだけに、もしまたそういう店で働くかもしれないと思ったら心配で」
「そういう店って…」
なんのことだろうと考えて、きのう以前のバイト先の話をしたんだったと思い出した。
「偏見かもしれないけど、俺は君に以前のような店で働いてほしくない」
きっぱりとメイド喫茶で働くことを否定する先生に少し驚く。
確かにちょっとマイナーな職業だし、先生がメイドに興味を持つイメージは沸かない。あの店のお客さんは、アニメとかゲームが好きないわゆるオタクと呼ばれる人が多かった。