甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

名取フーズの健診最終日。
本社には約750名が働いていて、昨日までの受診人数は680名ほど。きっと最終日の今日はそれほど忙しくはならないだろうと予想された。

元々今日の健診は午前中のみで、その後は機材の撤収に当てられる。

「おはよう、瀬尾さん」
「おはようございます、間宮さん。最終日だけマーゲンをお願いしてしまってすみません」

私はいつもの7階の会場ではなく、駐車場に止めてあるレントゲン車に乗り込んで間宮さんに頭を下げた。

本来連続する現場は同じポジションを担うのが暗黙のルールになっているけど、この名取フーズは土日を挟んで5日間という他に比べると長丁場だったため、派遣の技師さんは間宮さん以外『胸部のみ』の登録の人しかいなかった。

昨日までマーゲンを撮っていたC健所属の技師2名は、別で今日から始まる受診者の多い現場に行ってしまい、最終日の今日はマーゲンを撮れるのは間宮さんしかいない。

「全然大丈夫。むしろ瀬尾さんと組んで仕事が出来てラッキーなくらい」
「ありがとうございます。早速バリウム作りますね」

私が気を使わなくていいように、いつもこうして笑って話してくれる。
派遣の技師さんの中には、資格を持たない私達事務を見下すような態度を取る人もいるけど、間宮さんは誰に対してもフレンドリーだ。

若干距離が近かったり、愛想が良すぎる感じもするけど、そこは彼の性格ゆえだろうと思っている。

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