甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

ボトルタンクを持って車を降りて社内の給湯室を目指していると、エレベーターホール前に九条先生の姿が見えた。

「おはよう、瀬尾さん」
「先生、おはようございます」

今日もあの赤いスポーツカーの助手席にウニを乗せて出勤してきたんだろうか。もう先生を見ると反射で口元が緩んでしまう。

昨日、車内をスマホで撮った写真を休憩中に見せてくれた。
高級車にはどう頑張っても似つかわしくないフォルムと表情のウニが、律儀にもシートベルトをして助手席に座っている。

『か…可愛すぎます!!』
『次に瀬尾さんが座るまでは、ウニの指定席だね』

そんなことをさらりと言われて、ドキッと心臓が跳ねた。
先生が他の人を車に乗せる時、もしかしなくてもウニは邪魔モノ以外の何モノでもない。

九条先生だってそれはわかっているはずなのに、なんだか私とウニ以外は乗せないと言われているみたいで嬉しくて、私もつい『はい』と頷いてしまった。


「今日は7階じゃないの?」

私がボトルタンクを持っているのを見て気が付いたらしい。

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