甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「遥ちゃん?そろそろ朝礼始めるよ、上がって来れる?」
「あ、ごめんなさい。すぐ行きます」

久しぶりの介助の準備に慎重になりすぎたのか、いつの間にか朝礼の時間5分前だった。

「間宮さん、行きましょう」
「そうだね、行こっか」

私は彼に質問されたのもいつも以上に距離が近かったのも忘れて、慌ててエレベーターホールへと向かった。


バリウム検査は30歳以上の受診者が受けることになっているけど、過去に経験した記憶からキャンセルする人も一定数いる。

確かに他の検査と違って、若干大変なのは否めない。

私はまだ年齢的に受けたことはないので、バリウムが美味しくないことも、発泡剤を飲んだ後にゲップを我慢しなくてはいけない苦しさも、技師の指示に従って身体を何度も回転させなくてはいけない辛さも知らない。

でも私の母は5年前、この検査で胃に癌が見つかった。
その時母には自覚症状はなく、健診を受けていなければ早期発見は無理だっただろう。

そう考えると、大変だけどしっかり受診してほしい。

今日はキャンセルが多いのか、受付人数に比べてマーゲン車まで回ってくる受診者が少なく感じた。

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