甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
「げ!友藤さん」
「お、お疲れさまです」
今まさに話していた人の登場に、心臓がギクリと変な音を立てた。
「お疲れ様。朱音ちゃん『げ!』って酷くない?君の担当企業だから差し入れ持ってきたのに」
驚いた私達に対し、にこやかに紙袋を掲げる友藤さん。長身で営業にしては明るめの茶色い髪を緩くスタイリングしているその姿は、まさに朱音ちゃんが言う通りチャラく見える。
「はいこれ。みんなに配って食べてね」
私に紙袋を渡し、ぽんぽんと朱音ちゃんの頭を軽く叩くと、採血などの準備をしている看護師さん達の元へ挨拶をしに足を向けた。
「…ほんとチャラい」
朱音ちゃんは苦々しく呟いてるけど、本当は友藤さんが毎回自分が契約した初めての現場には顔を出しているのを尊敬しているんだと思う。
他の営業さんはそんなことしてるのを見たことないと朱音ちゃんが入所した当初に伝えた時、感心したような顔をしていた。
「よし、働こう」と気持ちを切り替えて動き出したので、私もそれに倣って会場の設営に注力した。