甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
「今日は金曜より暇だったね」
「ですね。キャンセルが多く出たんでしょうか」
「まぁバリウムなんて飲みたくないよなー」
間宮さんがあっけらかんと言うのに苦笑してしまう。やはり撮影する側の技師さんでも同じように思うものなのかな。
もうすぐ11時半。
最後の受診者の受診票には、受付で朱音ちゃんが付箋を貼ってくれることになっていて、付箋の付いた受診票を持った人の撮影が終われば、この名取フーズの健康診断は終了となる。
「バリウム、結構残った?」
「はい、すみません」
「しょうがないよ。キャンセルは予想出来ないし、途中でなくなって慌てるより良い」
優しくフォローされてホッとしていると、操作台のチェアに座っていた間宮さんが、待ち合いスペースの私の座っている4人掛けの簡易ソファの隣に腰を下ろした。
レントゲン車内は着替える待ち合いスペースが設けられているものの、両サイドにそれぞれ4人掛けと2人掛けの小さな備え付けのソファがあるだけ。
大型バスのような形の為長細く、棚やソファを除けば小柄な私が両手を広げられる程度の空間しかない。ソファの座面はかなり小さく、浅く腰掛けても背中は背もたれに付く。
そんな狭いソファの隣に座り、じっと見つめてくる間宮さん。私が4人掛けソファの中央辺りに座っていたせいで、距離がとても近い。