甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

お酒を飲んだ経験はあまりないけど、飲む時はいつも友達と居酒屋だった。
バーテンダーがシェイカーを振るようなお店に入ったことのない私は、大人の一歩を踏み出す感じで楽しみだと答えたんだけど…、いけなかった?

「いや、なんでもない」

肩を竦めて首を振った先生の意図するところがわからなくて、私はじっとその顔を見つめる。

眉を下げながらクスッと笑って「警戒してこの後楽しめないのも可哀想だから」とまたよくわからないことを言われて、首を傾げるしか出来なかった。


食後は予定通りショッピングモールに移動し、前回と違うフロアを見て回る。

フードコーナーは前回全く見なかったので、そちらから回ることにした。
スイーツストリートの名称の通り、和洋色んなスイーツのお店が立ち並び、甘い香りを漂わせている。

一通りぐるりと回って見て、1番惹かれた日本初上陸だというフィナンシェ専門店の焼き菓子をいくつか買ってみた。

イートインスペースで食べてみると、鼻から抜けるバターの香りと、しっとりとした生地の上品な甘さが絶妙に合っていてめちゃめちゃ美味しい。

思わず隣で食べている先生に勢いよく顔を向けると、「遥は本当に美味しそうに食べるね、可愛い」とフィナンシェより甘い言葉とともにほっぺをつつかれた。


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