甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
九条先生と一緒にいると、本当に美味しいものに出会いすぎて舌が肥えてしまいそう。
とはいえ根っからの庶民なので、きっと帰宅後に食べるコンビニスイーツも美味しいと感動出来るに違いないのだけど。
エスカレーターで1つ上のフロアに上がると、普段友達と見るショップとは違い、どことなく高級感が漂うアパレルブランドのお店が並ぶ。
誰でも好きに入ってねという開けた店の作りじゃなく、モール内の店舗なのに扉がある。
目的もなくブラブラ見るには適さないなと、またも庶民感丸出しの感想をもった。
なんとなしに見ていたその重厚な扉から、恭しく店員さんにお辞儀で見送られながら1人の女性が出てくる。
女性にしては身長が高めで、スラリとした細身のスタイル。それを活かすように、大きな花柄が鮮やかな身体の線に沿ったワンピースを着こなしている。
赤みの強いアプリコットベージュの髪は綺麗に巻かれ、歩く度に背中で毛先が揺れる。
目尻にしっかりアイシャドウを引いたメイクは、『出来る女』を感じさせる気の強そうな美人な彼女にピッタリ。
なるほど、こういう素敵な大人の女性が利用するのかと1人納得していると、その女性の視線がこちらを向く。
しまった。
不躾に見すぎてしまっただろうか。つい素敵だったから…。