甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
迎えてくれた黒服の店員さんに先生が何か話をつけると、その人は一旦奥に引っ込み、別の人が店内に案内してくれる。
ちらりと私の方を見たからドキリとしたけど、何事もなかったかのように微笑まれた。
店の明かりはかなり暗めで間接照明が至る所に置かれている。
私のバーのイメージであるカウンターは10名ほど座れるようになっていて、まだ夕方で時間が浅いからか3人しか座っていなかった。
通されたのはカウンターではなく店の奥にあるソファ席の個室で、食事も楽しめるようにテーブルも小さくない。
カップル向けの席のようで、夜になれば都内の夜景を一望できる大きな窓を向いて腰掛ける黒い革張りの2人掛けのソファがひとつ。
「先に簡単に注文しておこうか。俺が選んでも良い?」
「はい」
先生が飲み物と食事を案内してくれた店員さんに頼むと、「かしこまりました」と綺麗に一礼してソファを離れた。
「陽が沈んでいくのを見られそうだね」
もうすぐ日没。
夜景も綺麗だろうけど、この時間にお酒を飲むのもなんだか贅沢だ。
「遥、話してもいいかな?」
何をと聞かなくても、先生の言いたいことはわかるので小さく頷いた。