甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています
「本当、綺麗だね。遥と一緒に見られてよかった」
「先生、連れてきてくれてありがとうございます」
「料理も食べよう」
「はい」
頼んでくれた食事もすべて美味しくて、私の気持ちはどんどん浮上していく。
このお店に来た時は夕日と一緒に沈んでいきそうな気分だったのに、先生が誠実に説明してくれたことと、美味しいお酒と料理にすっかり立ち直ってしまった。我ながら現金だと思う。
「元々、熊澤先生から何度も遥の話を聞いてたって言ったろ?可愛くて気の利くいい子だって。だから会う前から何となく気になってた」
「クマ先生…オーバーに言うから…」
食事を終え、先生が頼んでくれた2杯目のカクテルを飲みながら苦笑する。
何かと可愛がってくれるクマ先生だけど、私のことを過大評価してくれている気がする。
派遣で健診に来てくれる先生が煩わしさを感じないように準備するのが私達の仕事なのに、それを大げさに褒められてもどうしたらいいのかわからなくなってしまう。
「オーバーじゃないよ。会ってみたら想像以上に魅力的で、代理できた職場なのに口説かずにいられなかった」
「く、くど…っ」
きっと私のほうが先生に見惚れたりドキドキしたりしていたと思うのに、『口説かずにいられなかった』なんて言われると、より意識してしまって心臓が早鐘を打ち始める。
やっぱりあの甘い言葉の数々は確信犯だったんだ。