甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

「顔、真っ赤だ」
「…お酒の、せい、です…」

お酒のせいだけじゃない。
私だってわかってるけど、意地悪に笑う先生に口を尖らせてみる。

「可愛い」
「先生…」

熱の籠もった視線を向けられて、思わず目を伏せる。

「この店に来た時に、店員にホテルの部屋をおさえるようにお願いしてあるんだ」
「あ…」

窓の外はすっかり日が沈み、藍色の空に小さく月が浮かんでいる。

先生の言葉の意味がわからないほど子供じゃないし、少ないけど経験がないわけでもない。

バクバクと店中に響きそうなほど心臓が大きな音を立て、カクテルを飲んだばかりだというのに口の中が乾く。

もちろん私の中に断るという選択肢はなくて、甘い眼差しにのぼせたように頷いた。

そこから部屋に行くまでの記憶は、緊張とアルコールのせいであまりない。

同じビル内に入っている『アナスタシア』は、世界の一流ホテルに並ぶ格式を持つ伝統あるホテル。


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