甘やかし上手なエリート医師に独占溺愛されています

先生がバーから出る時に貰っていたカードキーで部屋の扉を開けると、まず目に留まるのはUの字型に配されたヨーロピアン調のシックなソファセットと、その奥の床から天井まである大きい窓の外に映る夜景。

よく宝石箱をひっくり返したような夜景と比喩されるけど、まさにその通りの景色が眼前に広がっている。

スイートルームなんて生まれてこの方縁がないし、ホテルに泊まるのだって修学旅行以来初めてで、ガチガチに固まりながら部屋の中に進んだ。

「すごい…」
「気に入った?」
「素敵すぎて…なんだか恐れ多くて…」

ソファセットの右手奥には、8人は座れるダイニングテーブル。左手にはテレビを見る用の1人掛けのソファが2脚あり、さらにその奥の扉の向こうには、大きなベッドが見える。

あまりに広くて、この部屋で健診が出来そうだなんて場違いなことを考えていると、後ろに立っていた先生の腕が私の腰に回る。

「……遥」

低くて甘く響く先生の声に名前を呼ばれ、後頭部が彼の胸に触れる。

包み込まれる安心感と、これから訪れる濃密で甘美な夜を予感させる囁き。私のお腹の前で組まれている指に手を添えて、振り返りながら先生を見上げる。


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