△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 「原作者の澁澤です。先生などと呼ばずに、ぜひ名前で呼んでください。この作品は自分の中で1番のヒット作でもあり、1番苦労して作りあげた物語です。小説とは違った楽しみ方が出来る映画で、自分の作品を見れることを今から楽しみにしています。私の物語を知らない人でも気軽に楽しんでそして日々の暮らしをじっくりと見つめ直すきっかけになってくれればと思います。それには皆さまに力が必要です。ぜひ、お力を貸してください。よろしくお願いします」


 小さく頭を下げると同時に、スタッフから大きな拍手をもらい、少し頬を赤くする。
 それを見て、女性スタッフが目が和む。
 剣杜は「うまいな」と思った。低姿勢で笑顔。傲慢な態度など見せずに、一緒に頑張ろうと促す。悪人になど見えるはずもない。

 (だけど、俺は騙されない)

 剣杜の表情はにこやかに、他のスタッフと同じように拍手をするが、裏ではそう強く思いで彼を睨みつけた。




 「それではシークレットキャストとして参加される、モデルの椛さん、宜しくお願いします」




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