△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
その後、打ち合わせは終わり、後日に行われる撮影日時の説明後に解散となった。
剣杜は、他のスタッフの挨拶より先に澁澤の元へと急いだ。
もちろん手には「夏は冬に会いたくなる」の本を持っている。
「澁澤さん、お疲れ様です」
「あぁ、椛さん。お疲れ様です。これから、宜しくお願いします」
「はい。それで、先程お願いしたサインお願いしてもいいですか?」
「椛くん、本当にファンなんだね」
澁澤の近くにいたスタッフがそう言うと、持っていたペンをかしてくれた。
澁澤は「今度椛さんとサインも欲しいな。何か本をかってこようかな」と言いながら、表紙にサインをしてくれた。
「わぁ、感動です!ありがとうございます。初演技ですが、みなさんの足を引っ張らないように頑張りますね。澁澤さんもぜひご指導お願いします」
「私に出来る事はあるかな。でも、登場人物の心情とかならお話できますよ」
「それは勉強になります!初日の撮影には澁澤さんもいらっしゃるんですよね。その時にお話しをお願いします」
「えぇ、こちらこそ」
そう言って、澁澤は剣杜に向けて手を差し出した。握手を求められたのだとすぐにわかった、が剣杜は思わず体を止めてしまった。
「椛くん?」
「………あ、ごめんなさい。あまりに感動してしまったもので、よろしくお願いします」
剣杜は動揺を嬉しさのあまりの戸惑いとして隠し、澁澤の手を強く握った。
両手で握手をした方が好感をもられるのだろうか。そう思い、両手で澁澤と強く握手を交わした。
が、剣杜の心は「早く手を離したい」「握りつぶしてしまいたい」そんな、ドロドロとした感情に侵されていたのだった。