△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~




 剣杜が危険な目に遭うかもしれない。
 それは前から分かっていた事だが、いざそれが現実になるとわかると、この作戦は間違えだったんじゃないか、と思ってしまう。
 自分が責任を負うと決めていたはずなのに、彼にも迷惑をかけてしまう。

 バレたらどうなるだろうか。
 そう考えると、「やっぱり止めよう」と言いたくなる。


 『俺は止めないからな』
 「剣杜……」
 『おまえから話を聞いて、危険だとわかっていて承諾したのは俺自身だ。決めたのは自分なんだよ。今さらビビッて止められるか。それに、あいつはずっと苦しんでいるんだ。そして、あの映画は澁澤って男のものじゃない。虹雫のもんんだって。台本を見て、スタッフを見て、そう言いたくなったんだ。だから、やってくるさ』
 「わかった。当日は、渡した腕時計をしてろよ」
 『確か、盗聴に録音できるんだっけ?おまえ、そんなのどこから手に入れたんだよ』
 「虹雫のためなら、爆弾でも準備するさ」
 『………だから、本当にやりそうで怖いんだよ。おまえの発言は』
 「……助けに行く」
 『そりゃどうも』


 軽口でそういうと剣杜はすぐに通話を切った。
 きっと、彼ならばうまくやるだろう。
 それを願うしかない。


 
 
 澁澤は、男好きで有名だったのだ。
 蜥蜴からの情報では、彼は、細身で若く、容姿が整っている男が好みだと情報が入ったのだ。

 そのため、モデルである剣杜が適役だと判断したのだ。

 それをわかって、彼は作戦にのった。
 宮は、後悔しつつも剣杜の言葉を信じる事にした。
 そして、やれるだけの事はやろうと、蜥蜴に連絡をする。

 決着の日は着々と近づいていた。
 


 
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