△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 今回も、個室の部屋がある店を選んでいると、仕事終わりの1番混む時間帯のためかなかなか見つからず、居酒屋になった。個室ではあるので、剣杜もバレないだろうとその場所に決めると、お酒と食事を注文した後すぐに、「で、何があった?」と聞かれてしまう。

 せめて、お酒の力を借りて伝えようかと思っていた淡い願いも叶わず、虹雫は重い口を開いた。


 「………実は、約束をやぶっちゃったの。ごめんなさい……」
 「……何だよ、それ」
 「約束って……。虹雫、どういう事?」
 「私の小説が盗作されたでしょ?その時に、日記燃やしながら、忘れてほしいって2人にお願いしたよね。それ以来、その話はしなくなった。そこまでして避けてきた事なのに、自分からそれを破っちゃったの……」
 「何をしたの?」
 「小説をまた書き始めてたの。そして、出版社に送ってみて……」
 「ま、まじか?!」
 「すごいね。よく決めたね」


 虹雫の話を聞いて、宮と剣杜は驚きながらも変化を喜んでくれているようだった。
 2人は虹雫の夢を応援してくれていた。だからこそ、虹雫の事を黙って見守り、動き出せるようになるまで何も言わなかったのだろう。そして、自分で決めて行動したことを、喜んでくれた。
 ならば、きっと大丈夫だろう。その後に続く事もきっとわかってくれる。
 そんな甘えが出てしまった。



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