△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 「それで出版社の人が私の小説を気に入ってくれて、本を出せる事になりそうなの」
 「そうか!それはよかったな。夢が叶うな」
 「うん。でもね、その出版社、私が前に盗作された小説を発売しているところで、盗作について調べてくれないかって言ったんだけど、やっぱり今は難しいみたいなの。だから、あの小説の事はなかった事にしてほしいって。その条件さえよければなんだけど。これで、なかった事にして本当に忘れられるなら、いいかなって」


 虹雫は苦笑いを浮かべながら、先日の話を伝える。
 緊張する事なので、少し早口になってしまい、視線も下を向いてしまう。が、最後まで話し終えて、ゆっくりと2人の方を見直すと、宮と剣杜は先程とは違う温度が低い、色のないような表情でこちらを見ていた。


 「……おまえはそれでいいのか?あんなに認められて、みんなから賞賛されるような作品なんだろ?それをなかった事にしていいのか?頑張って、苦労して作りあげたんじゃないのか?」
 「そうだけど。でも、なかった事にすれば、夢も叶うしあの日の事を忘れられるんだよ?それならそれで」
 「よくねぇだろ!」
 「………」


 剣杜と虹雫が言い合いになっており、その間、宮は無言だった。が、すぐに宮は立ち上がり部屋から出ていこうとした。




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