△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「おい、宮。どこに行くんだよ」
「その話、聞きたくない」
「虹雫を止めなくていいのかよ。そんな条件おかしいって、泣き寝入りするのはおかしいだろって」
「虹雫」
いつもの宮の声のはずだった。聞きなれた、大好きな優しい宮が自分の名前を呼んでいる。
それなのに、全く違う声だった。
冷たくて感情などない、一定すぎる声。虹雫は、その時初めて宮が怖いと思ってしまった。
そして、彼の温度のない冷たい視線。無表情。
宮は静かに怒っていた。
「虹雫の考えに俺は全く賛成出来ない。辛いなら休ませてやりたいと思ってた。けど、今の虹雫の考えは、俺は納得出来ないから」
「宮、でも、私は……」
「ごめん。お試しの恋人も1回なかった事にさせて」
「………え………」
「しばらく、連絡しないで。考えたいんだ」
「…………」
視線が合わない。
宮は全く虹雫の顔を見てくれない。笑いかけてもくれない。名前を呼んでも振り向いてくれない。
宮が遠くに行ってしまう。
部屋を出ていった宮を追いかける事も出来ず、虹雫は呆然と一点を見つめた。
涙が出てきたのは、しばらくしてからの事だった。