△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「どうしよう。宮に嫌われちゃったかな」
そうとわかっていても、宮が自分と離れていってしまったことが悲しくて仕方がなかった。
全ては、宮と釣り合うような自分になりたいと思って始めたことだったのに。これでは本末転倒だ。
「虹雫。どうして、出版社に連絡したり小説を送ったりしたんだ。それが悪いって事じゃないけど、あまりに急だから。何かあったか」
「うん。今、その事を考えてたんだけど」
そう言った後、虹雫は宮が出版社の副社長と会っているのを見てしまった事。それを見て、お似合いに見えてしまい、焦ってしまった事。宮に釣り合うような女性にならないと、お試しの恋人から、本当の恋人になどなれないように思った事をゆっくりと話した。最後まで話を聞き終えた剣杜は「なるほどね」と、苦い顔を浮かべた。
そして、少し考え込んだ後に、言葉を選ぶようにゆっくりと話始めた。
「それ、そのまま宮に伝えた方がよかったな」
「そ、そうなの?」
「ようは宮に好かれたいから頑張れたって事だろう。きっかけはどうであれ、虹雫が前を向いて行動し始めただけでもあいつは嬉しいだろうから。しかも、その原因を作ったのが自分だと知ったら、喜ぶんじゃないか?」
「喜ぶ?でも、怒ってた」
「そりゃ、あれは怒るだろ。俺だってイラッとしたわ」
「ご、ごめんなさい」
「そうだよ」
「?」
何が「そうだよ」なのかわからずに、虹雫は首をかしげる。すると、いつもは乱雑に頭を撫でてくる剣杜だが、今日は宮のように優しく撫でてくれる。そして、穏やかに笑う。モデルの時の笑顔ではなく、くしゃりとした素の彼の笑み。