△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
27話「大驚失色」
27話「大驚失色」
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今日から『夏は冬に会いたくなる』の映画の撮影がスタートした。
この日は天気もよく、絶好の撮影日和だったが生憎セットでの撮影だ。剣杜も出番はないものの見学することになった。合間をぬって、出演俳優やスタッフと話をしていく。自分の演技についての指導やアドバイスを貰えたので、目的外でも習得するものはあった。今後、ドラマに映画に出る予定はないが、虹雫の小説がまた映像化されたら、と思ってしまう。そのためにも、自分の与えられた仕事はしようと、笑顔の裏側にやる気をたぎらせていた。
「椛さん、こんにちは。本当に来てくれたんですね」
「澁澤さん。こんにちは。勉強させてもらってます」
先程まで監督と撮影を見ていた澁澤が、剣杜の元へとやってきてたのだ。向こうから声を掛けてくれるとは、やはり初対面の印象が良かったのだろうか。剣杜は笑顔で澁澤の元へと近づていった。
「先程から演技指導を受けてましたね。椛さんは勉強家だね」
「そんな事はないですよ。初めての映画ですし、澁澤さんの作品なので下手な芝居はしたくないんです」
「そのやる気に感謝します。一緒にいい映画を完成させましょう」
「もちろんです。………そういえば、澁澤さんの前作の舞台って先生の地元なんですよね?」
「前作も読んでくれているんですか?嬉しいです。あの作品の舞台は僕の地元の北国ですよ」
「その話もぜひ聞きたいです」
「今から、休憩をしようと思っていたのですが。控室でお話をしませんか?
「えぇ、もちろんです!」