△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
虹雫が写真をくしゃりと握りしめながら反抗して声を上げた。
もうあの頃の自分とは違う。やりたいことも決まった。もう盗られてしまう前に自分から夢を叶える。そして、盗られたものを取り返す。そんな勇気が出てきた。それも全てあの2人からもらってもの。
守ってもらって、優しくしてもらって、怒ってくれた。だからこそ、自分の気持ちに正直になれた。
怖いけど、澁澤の言葉にはどうしても耐えられずに声が出てしまった。
体は小刻みに震えているし、涙も出そうだった。けれど、それだけは自然に発せられた。
が、その瞬間に目の前の男の表情か豹変した。
瞳は激しく揺れ、眉は吊り上がり、口は大きく開き、呼吸が荒くなっていた。彼を怒らせてしまったと悟ったが、その時にはもう遅い。
虹雫の言葉が全て終わる前に勢いよく近づき、虹雫の髪を乱暴につかみ取り、上に引っ張り体を持ち上げようとした。
あまりの痛みに虹雫は小さな悲鳴を上げてしまう。すると、澁澤はそのまま虹雫の体を塀に突き飛ばした。「ぐぅッ」という痛みに耐える声が漏れるが、その後澁澤は片手で虹雫の口を強く塞いだ。背中は塀、目の前には澁澤が体を押さえつけている。
虹雫には逃げる方法などなかった。