△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 もちろん、虹雫の気持ちがわからにわけではない。
 きっかけが何かはわからないが、自ら立ち上がり辛い過去と向き合おうと動き始めた矢先に出版社から諦めるように言われてしまえば、ショックを受けるに決まっているだろう。それに長年の夢だったら作家という条件を目の前でちらつかせて条件をつきつけてきたのは、出版社側だ。申し訳なさそうにしているが、出版社には得しかない。

 映画も成功させ、有望株である虹雫も自社でデビューさせる事が出来るのだ。
 そんな条件をつきつけてきた会社にも苛立ってしまうが、やはり原因は全てあの男のせいなのだ。


 そこまで考えて、宮は大きくため息をついた。
 蜥蜴が言ったように、少し休んだ方がいいようだ。思考が安定しない。
 首をゆっくりと回しながら、PCの電源を消そうと思った時だった。


 ピピーッ!ピピーッ!!


 小さなビジネスホテルの一室に甲高い機械音が響いた。
 どこから発せられているのかもわからず、宮は立ち上がったまま室内を見渡す。すると寝ていたはずの蜥蜴が、勢いよくベットから飛び起き、先程まで触っていたPCを操作し始める。少し怪しさはあるものの、いつもは明るい雰囲気の蜥蜴だったが、今は真剣な視線で画面を睨みつけ、カタカタとキーボードを叩いている。その表情には焦りも感じられ、宮は何か緊急事態が起こったのだとすぐに理解した。



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