△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 虹雫が脅される原因になった写真。
 それらを宮が見たことはなかった。
 当時、こんなにも酷い事をされてしまったのか、裏切られ努力の決勝を奪い取られた虹雫の表情には光りなど見られない。絶望の一色だった。
 そして、今もそうだ。少しずつ過去を乗り越えて生きていこうともがいていた彼女の目の前に、諸悪の元凶が姿を表したのだ。真っ暗な部屋で一人震え、泣いていた。

 どんな事をされた?
 激しい怒りが沸き上がり、宮は「くそっ……」という悪態をつく言葉が出てしまう。彼女の前ではそんな姿を見せたことも、見せたくないとも思っていたのに。

 その怒りは自分の愚かさにも向いていた。
 あんなにも予防線を張り、準備をしてきたのに。
 虹雫に「守る」と散々伝えて、このざまだ。
 何が、幼馴染みで1番大切にしてきた人だ。言葉だけなら何とでも言える。
 それを彼女自身にわかってもらえるはずがないではないか。
 何度も、虹雫を守れていないのに。


 小説より虹雫を守れないのならば、この計画なんて意味はなかったのに。


 「宮………」
 「虹雫?」
 「来てくれて、ありがとう。辛いときに助けてくれるの、本当に嬉しい」
 「……っっ」



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