△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
そんなはずがない。
こんなにも泣かせてまで、彼女を傷つけていいはずがない。
全てが終わった後に、どうなるか心配する気持ちもある。けれど、今はどうでもいい。
もう、その涙を止めてやりたかった。もう泣き顔など見たくもない。
と、宮の体は勝手に動いていた。
抱きしめていた腕を緩め、虹雫の顔を手を当てこちらに顔を向ける。泣き顔を隠すように宮は顔を近づけ、そのまま唇と唇を合わせていた。
少し長いけれど、体温を確かめるような当てるだけのキス。
宮が目を開けると、あまりに突然の行動に虹雫は驚き目を開いていた。宮は視線を合わせたままゆっくりと唇を離した。が、鼻と鼻が当たりそうなほどの近い距離。そのまま、宮は親指で彼女の涙を拭った。
「虹雫が好きだよ」
「…………え………」
「ずっとずっと大切だった。俺にとって虹雫は幼馴染なんかじゃない。愛しい人だった」
「そ、そんな事………。だって、そんなはずない。…………私が弱っているから、そんな事を言うの?」
「違うよ。ずっとずっと好きだった」
「じゃあ、………どうして、どうして、今まで………そんな事言ってくれなかった。お試しの恋人だって、私の事が好きなのかわからないって言ったのに」
まだ信じられないのか、虹雫は宮に質問を続ける。
それもそのはずだ。長い間片思いをしてきた相手が、突然「好き」と言ってきたのだ。しかも、「お試しの恋人」など提案してきた相手がそんな事を言うのだ。
信頼されてるはずもない。
宮はいつものように優しい口調で語りかけた。
「ごめん。虹雫を不安にさせた。俺は、虹雫を守れなかった事を後悔してた。盗作された時、あの写真を撮られて怖いを思いをした時に、俺は何も出来なかった。夢を叶えられなくなったのも悔しくて仕方がなかった。だから、俺は虹雫の奪われたものを取り戻すと決めた。虹雫には忘れると約束したけれど、俺は忘れる事なんか出来なかった。だから、約束をやぶった。だから、全て取り戻せた時に、約束をやぶった事を謝ろうと思った。そして、その時に虹雫が好きだと伝えようと思ったんだ。俺のけじめだった。だけど、……それで虹雫を不安にさせた。好きだと伝えない事で、虹雫を傷つけた。ごめん」
「ほ、本当に私の事が、好きでいてくれたの?ずっと、ずっと?」
「あぁ。本当に好きだよ。虹雫以外に好きになった女の子なんて誰もいなかった」
「信じられない。そんなの、信じられないよ……」
「んー、じゃあ、どうす信じて貰えるかな………」
宮は、虹雫をポンポンッと背中を撫でて安心させながら少し考える。
けれど、気持ちはもう止まらない。ずっとずっと我慢してきた気持ちを本人に伝えたのだ。