△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~




 「こんな時にいう事じゃないかもしれない。けど、絶対にこれ以上虹雫を怖い思いをさせない。俺が守るし、虹雫の夢を取り返す。そして、今まで以上に一緒にいるから。俺の本当の恋人になってくれないかな」
 「………本当に、今言う事じゃないよ」
 「これで、少しは笑える?」
 「………え」
 「これから俺が一緒にいるから。だから、泣かないで。あんな男のために涙なんて流さなくていい。虹雫が泣き止むまで、虹雫が恋人にしてくれるまで、こうして抱きしめ続ける」
 「そ、そんなのずるい………」
 「俺は実はずるいんだ」
 「……そんなの、泣いちゃうよ。私だってずっとずっと好きだったんだよ?」


 虹雫は宮の腕の中で、胸に口をつけて話しているせいで、彼女の声がこもる。
 それさえも、宮は可愛いなんて思ってしまう。自分を好きと言ってくれる虹雫。こんなにも、嬉しい。彼女は普段も宮の事を大切にしてくれたし、宮自身も彼女の気持ちをわかるぐらいの態度を見せてくれていた。
 それに応えられる日がやっときたんだ。


 「うん、知ってる。だから、俺の気持ちもわかって」


 涙を止めたかったのに、虹雫は宮に抱きしめられて泣き続けた。
 暗い玄関で2人の呼吸音と彼女の泣き声。そんな2人の恋人としてスタート。


 それでも、宮はこの手に虹雫が居てくれるのが、そして自分の恋人になった事が幸せで仕方がなかった。
 けれど、この幸福感に浸ってい時間はない。
 

 次に虹雫が怖がることがないように、今度は必ず守り、取り戻す。そう強く強く誓い、虹雫を抱きしめ続けた。






 
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