△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
△△△
どん底からの這い上がって、幸せを掴む。
そんな事が本当にあるんだ、とわかった日。
怖くて震えていた夜。夢が2度叶わないとわかった最低の闇夜。枯れるほど泣いて、恐怖に震え、自分はこれからも過去に囚われ、1人の男の影におびえて生きていく。絶望の淵から救ったのは、他でもない虹雫の大好きな人だった。
そんな彼が自分が弱っている時、家まで来てくれた。それも、一度距離を離したいと言われた後に、自分を心配してくれた。宮が突然この家に来てくれた理由はわからない。けれど、彼が自分に会いに来てくれた事が嬉しかった。そして、不安と恐怖に支配された虹雫を抱きしめて安心させてくれた。
もうお試しの恋人ではないのに。どうして、甘えさせてくれるのだろうか。幼馴染だからなのか。そんなモヤモヤした気持ちもあったのかもしれないが、その時はパニックからただただ宮から安心をもらっていた。
それだけでも、嬉しかったはずなのに、宮は虹雫に1番嬉しいサプライズをくれた。
「好き」と言ってくれたのだ。そして、本当の恋人になって欲しいと告白してくれた。
ずっとずっと夢見ていた。
大好きな人から告白されて、涙を流しながら「私も好きです」と返事をする事を。
手を繋いでデートをして、学校の友達に「実は付き合い始めたんだ」と、宮を幼馴染ではなく恋人として紹介する日を。そして、デートをして、キスをして、恋人としての思い出を重ねていく。そして、その先に事さえも想像しては「これは叶わない夢だ」と、半ば諦めていた。
それなのに、ずっと昔から両想いだったと知る事が出来た。
恋人になれなかった時間が勿体なくはない、と言ったら嘘になるだろう。けれど、私たち2人はきっとこのタイミングで恋人になる事が運命だったのだ。そう思えるほど、その傷ついた虹雫の心を、宮が癒してくれた。