△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「………ん………」
「また、何か考え込んでる。………俺はずっと君を近くで見てきたつもりだよ。誰よりも知ってる自覚がある」
「それは……私もそう思うよ……?」
「そんな俺が全部の君が好きだって謂ってるんだけど、それでも不安になる………?」
あぁ、そうだ。
彼はそういう男の人なのだ。
虹雫の弱いところも、悪いところも全てを知って守ってくれ、温かく支えてくれる。
それは、すべて虹雫への愛情だったのだと、今になってわかった。もちろん、幼馴染みとしての優しさもあっただろう。けれど、それ以上に好きな人として優しくしてくれていたのだ。
自分が宮が好きで、一緒に居たい、優しくしたい。そう思ったように。
それがわかり、虹雫は思わず笑顔になる。
自分は十分に愛されていたのだ、不安になることはない、とわかったのだ。
「………その表情は、わかってくれたみたいだね。さ、仕事に行く準備をしないと遅れるよ」
「うん。……ねぇ、宮?」
「うん?」
「宮は……今日の夜、私を迎えに来てくれる?」
「さっそく、恋人に甘えるの?可愛いね」
クスクスと笑いながら、宮は虹雫の頭を撫でる。「もちろん、迎えに行くよ」と頷いてくれる。これで安心のはずだ。だけれど、虹雫のざわついた気持ちは少しも収まらない。
そのとき、どうしても彼と離れたくなかった。それは、昨夜の恐怖の再会があったからだと、虹雫自身も思っていた。
けれど、それは宮の些細な変化を感じていたからだったのだと、その時に虹雫には気づく余裕さえなかったのだった。