△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 作戦を頭で思い描いているうちに、剣杜がとった部屋の前に到着していたようだ。澁澤は、ギラついた目で剣杜を見つめながらそんな話をしている。すでに瞳には熱が宿っており、すぐにでも剣杜を手に入れたい、そんな様子だった。やはり、時間など取れるはずもない。

 澁澤がドアを開けて剣杜を誘っている。
 ここまで来て、逃げるつもりもないが2人きりになると思うと、正直気分が悪くなる。
 こんな男に触られるなどごめんだ、と剣杜は舌打ちしそうになるのをグッと堪えた。

 扉が閉まった瞬間に、澁澤の手が伸びてくるのが暗闇でもわかり、剣杜はすぐにそれを優しく避けた。


 「シャワー浴びてからにしましょう。楽しみは、ね」
 「……そうだね。では、私から借りてもいいかな?」


 剣杜から誘ったのだ、焦らなくてもいいとわかった澁澤は相違って部屋のテーブルの上に荷物を置いて、さっさとシャワー室に入る。
 剣杜はベットに座り込み、澁澤を待っている風に装いながら、ジッと物音を聞いた。洋服が擦れる音に、シャワー室のドアが開く音、そして水が跳ねる音が部屋に響いた瞬間に、剣杜は動いた。

 彼の鞄からPCを取り出し、自分が持ってきていた全く同じ真新しいPCを交換する。ここでPCを使うとなると、きっと全てが終わったあとになるだろうからバレる事がないと踏んでいた。まぁ、澁澤に自分の体を触らせるつもりはなかったが。

 PCのすり替えが終わり、剣杜はすぐに入り口の扉を音をたてないように開けた。

 「………」
 「すぐに確認します」
 「………」



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