△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
ドアの前に居たのは、盗聴機付きの腕時計から様子をずっと聞いていた蜥蜴だった。以前、宮と作戦会議をした時に宮が雇ったと言った盗聴やハッキングのエキスパートだという蜥蜴と会い、その際にこの作戦を実行することにした。そのホテルに数室予約を取り、1部屋で蜥蜴が待機している状態だ。
今からその場を離れた蜥蜴は、すぐに解析に入る。パスワードの心配をしたが、蜥蜴は「1分もいらないですね」と、あっけらかんとしてそう言った。頼もしい。
すぐにドアを閉めて、部屋に戻ると丁度シャワーの音が止まった所だった。どうやら、早く椛と楽しみたいようだ。こうなると、時間を稼ぐのが苦労しそうだ。
「椛くん、大丈夫?ドアの音がしたけど」
「物音がしたような気がして。でも、気のせいでした」
体だけシャワーを浴びたのか、髪はほとんど濡れていない状態に、白いバスローブを羽織った澁澤が浴室から顔を出した。剣杜は落ち着いて返事をし、「もっとゆっくり入ってきてもよかったのに」と声を掛ける。そして、上着を脱ぎながら自分もシャワーを浴びようと洋室へと向かった。
ここでお風呂に入ってしまう事も考えたが、これでPCをさわられてしまったら終わりだ。澁澤のように早くに済ませなければいけない。
さて、その後はどうしようか。やはり、あれを使うしかないかな、と剣杜は考えたが不安がつきなかった。