△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~



 「あぁ、出てきていいですよ。今の話しを聞いて、今後どうするかこの人の前で話をしてください」
 「な……、他にも誰かいるのか?!」


 カツカツッとヒールを鳴らして出てきたのは、艶のある髪と美しい体をもつ女性、一条だった。
 バツが悪そうに、ベットで縛られている澁澤の事を見つめ「澁澤先生……」と悲しげに声を上げた。一条の姿を直視した澁澤は声にならない悲鳴を上げた。自分が出版した会社の幹部がこの話を聞いていたのだ、焦りから早口で説明を始める。


 「副社長っ!?どうしてここに……」
 「…………」
 「一条さん、待ってください!これはこの男達の間違えなんですよ!勘違い、そう、勘違いなんですっっ!!僕は一生懸命執筆していましたよね?映画の準備だって、締め切り前に終わらせましたよね?『夏は冬に会いたくなる』は俺の作品ですよね?一条さんなら俺の無実を信じてくれますよね?」
 「…………」


 必死の願いで、涙目になりがら懇願する澁澤だが、一条はすぐに男から視線を逸らした。
 それを見て、澁澤は唖然とし口を開いたまま動かなくなった。その時全てを悟ったのだろう。
 自分には味方はいない、と。


 「………澁澤さんの作風は私も昔から知っています。だからこそ、『夏は冬に会いたくなる』を見たときは驚きました。あまりにも言葉使いも雰囲気違いすぎるので、別人のようだ、と。私は澁澤さんの元の作品の雰囲気が好きだったので、少し残念だったのですが、新作も素晴らしかった。だから、何も言わずに受けとりました。けれど、今となっては、それをおかしいと思うべきだと私も反省しています。確認し、止めるべきだった、と」
 「そ、そんな……一条さん、僕はっ!!」
 「誰が見ても明白なのです!あの子が書いてきた新作は『夏は冬に会いたくなる』と雰囲気も言葉選びも完璧に同じでした。……そして、確認したところ投稿サイトでもあの子の物だと調べがつきました。数多くの読者という承認もいます。……ですから、これ以上、読者に嘘をつき続ければ、大きくなってしまいます。今、謝罪をするべきだと私は判断しました」
 「そんなっ!!俺の映画は、せっかくこぎ着けたのに………!!」
 「映画は完成させます。が、原作は澁澤さんではなく、あの子の名前で。……盗作は犯罪。罪を償って、またデビュー作のように爽やかで感動する作品をつくってください。あなたが帰ってきてまたこの会社で本を出してくれるのを楽しみにしてます」
 「…………くそっ………ここまで大きくしたのは、俺の力だったのに。女子高生がデビューしたって、今時珍しくもないだろう!?」



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