△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
澁澤は体を丸めながら、そう観念したように本音を吐いた。一条に情けをかけられても悪気もなくそんな事を発せられる。呆れる、なんて軽い気持ちでは入られなかった。
気づくと、宮はまた澁澤の左頬に拳で思いきり殴りかかっていた。1度で澁澤は体がふっとび、ベットに投げ出される。唇が切れたのか、今度は血でベットが赤く濡れる。
「おまえ、ふざけんなよっ!あいつがどんな思いでここまで生きてきたと思ってんだ!お前が盗ったとは小説だけじゃない、夢も希望も、あいつの自信も奪いとったんだっ!そして、おまえじゃなくて虹雫がデビューしたって、成功してた。それぐらいの作品なんだよっ。悔しかったら、あの小説以上に売れる作品を書いて出版して見せろっっ!!」
そういうと、宮は澁澤から離れて大きく息を吐いた。
普段、そこまで気持ちを押し出して怒る方ではない。相手を殴るほどに怒りが抑えられなかったのは初めてだったかもしれない。
けれど、ずっと虹雫を苦しめていた存在がやっと自分で罪を認めたのだ。1度殴っただけで済んだことを褒めてほしいぐらいだった。
虹雫、そして剣杜の気持ちを込めた一発だ、痛くて当たり前だ。
澁澤はただただ苦悶の表情を浮かべながら、恐怖の瞳で宮を見つめていた。