△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
が、宮はこんな男の事をもう見たくはなかった。澁澤に背を向けた。次はこの男を警察につき出すだけだ。蜥蜴が澁澤を着替えさせ、手の縄だけはそのままにホテルから脱出させる事になった。
蜥蜴は一人で別の車に乗りすぐにその場を去った。宮と澁澤、そして一条は宮の車に乗って警察へと向かう事になった。澁澤はもう逃げられないとわかったのか、おとなしく従っている。
ホテルから車を発車させようとした時だった。
助手席の窓をコンコンッとノックする音がした。
宮が窓を開けると、そこには警察の制服に身を包んだ男が「すみません。お話聞かせてもらえませんか?」と声をかけてきた。車を発車させないように、もう1人の男性は車の前方に立っている。宮に話をかけてきた男は真面目そうな細いフレームをかけたつり目の男だった。髪をしっかりと固めており、警察よりどこかの大手企業の幹部と言った方が似合うような風貌だった。
宮は「ちょうどよかったです。警察にこの男をつき出そうと思っていたので」と、後部座席の男をちらりとミラー越しに視線を送った。が、内心では(どうして、警察が?)という気持ちが大きく、動揺してしまった。が、どうせ捕まるのだから早い方がいい、とも思った。
「澁澤悠陽の盗作についてのご協力感謝します。ですが、遊馬宮さんにもご同行願いたいです」
「え……、どうしてですかッ!?」
宮よりも驚いた声を上げる一条に、警察は冷静に言葉を告げる。