△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「……さっきの話が冗談ならいい。俺は帰る」
「じゃあ、お試しでいいから恋人ならないか」
「は?おまえ、何言って……」
突然の言葉に宮は目を丸くしたまま、こちらを振り返る。半分呆れ顔になっていたが、剣杜は真剣だ。
「付き合ってみて、本当の恋人になりたいと思ったらそのまま付き合えばいい。2人でデートとかしたら気持ちに熱が入るかもしれないだろ?」
「……ばかばかしい。本気で付き合わないで虹雫が傷つかないと思うのか?」
「じゃあ、このまま不安にさせて、泣かせたままでいいのかよ」
「………」
宮はその場で固まり、剣杜の顔をジッと見つめる。
彼の切れ長で真っ黒な瞳が揺れている。これは、宮が迷い、頭の中で必死に考えている時だった。宮はいつも冷静でクールだ。天才で頭も切れるので決断も早い。だが、虹雫の事になるとそうもいかない。いつも決断までに時間がかかり、慎重になる。それぐらい彼女の事を大切にしているのだ。
それなのに、どうして。剣杜はもどかしくて仕方がない。
「……わかった。おまえがそこまで言うなら虹雫と付き合う」
「ま、まじか!?やっと、か。虹雫も喜ぶ……」
「だが、条件付きだ」
「え、何だよ、条件って……」
せっかく上手く話しがまとまり、2人が幸せになれると思っていたが、宮はそう簡単に首を縦には振らないらしい。意味がわからない。
「1つは、虹雫には俺が好きだとは言わない。さっき剣杜がいったみたいにお試しで付き合う」
「は?おまえ天邪鬼なのか」
「俺にも考えがあるんだよ」
「なんだよ、それ……」
「もう1つは……」
「無視すんな」
「お前に、俺の手伝いをしてもらう。俺の計画が狂うんだからな。責任を取って、共犯者になってもらう」
「………は?」
思いもよらない言葉。
そして、その後の宮の話に、剣杜は絶句ししばらくの間、体も思考も固まってしまった。