△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~




 剣杜が話してくれたのは、宮が昔からずっと盗作事件を解決するために動いていたという事だった。
 まずは投稿サイトの掲示板を利用して、虹雫の小説について調べた。突然、虹雫が小説を削除したことで一時は騒ぎにもなっていたようだ。そして、数か月後にその本が出版される事になる。当時は名前や性別が違うこともあり、盗まれたのではないか、どうして名前が違うのかと疑問の声も上がっていた。だが、澁澤とあの小説をアップしていたのは同一人物だという書き込みがあった。それで落ち着いたものの、以前に発表されていた澁澤の作品と『夏は冬に会いたくなる』の作風が全く違うと指摘する人も多かったが、日にちが経つにつれてその噂話も少なくなっていった。
 大学生に入った宮は本格的に澁澤の周辺を探るべく、まずはお金の調達から入った。
 真っ当な方法では調べるのが限界だと感じたので、違法ではあるがハッキングなどが得意な人物と接触することにした。それが蜥蜴だった。蜥蜴に澁澤の話をして依頼をすると莫大なお金がかかると知った。そのために、学生の頃から稼げる方法を学び、まずは金を取得した。蜥蜴は宮を良いカモだと思っていたのかもしれない。けれど、宮も澁澤から小説を取り戻せるなら金などいくらでも払うつもりだったので都合がよかった。金で解決できるならば安いものだ。

 そして、蜥蜴に過去や澁澤の周辺の動きを探ってもらい、水面下で作戦を練り続けていた。
 準備が整った後は、剣杜に澁澤との接触の機会を持ってもらう事になったというのだ。けれど、ここにきて虹雫が動いた事で自体が変わったのだという。澁澤が焦り、虹雫に近づき脅したのだ。その事については、すぐに宮は剣杜に連絡をしたそうだ。




< 182 / 202 >

この作品をシェア

pagetop