△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
丁度予定の時間になり、映画の上映会が始まった。
そこに映し出されたのは、虹雫が脳内で描いていた世界がそのままに生かされていた。
どこにでもあるような景色の中で、「綺麗だな」と思える瞬間。それは、人それぞれ違う。その「綺麗だな」や「愛しいな」と、どんな事で感じられるのか。そして、その当たり前の日常の「綺麗」が無くなった時に、何を求めるのか。虹雫の言葉選びと同じように景色や音楽、演技で描かれており、虹雫は冒頭から涙が止まらなくなっていた。
それに気づいたのはもちろん隣に座っていた宮だった。
虹雫の手の上に自分の手を重ね、優しく包んでくれる。
泣いている暇などないのだ。涙を必死に堪えて、一瞬も見逃さないように虹雫は画面を見つめた。宮の体温を感じていると、不思議と安心し集中できる。
それからは、虹雫はどっぷりと映画の世界へと浸っていったのだった。
「ううう………!感動が収まらないよーー。すごいよかった!」
「自分の小説が映画になるんだもんな。すっごい感動するだろうな」
「うん、それはもう。そこに剣杜が居てくれるのも嬉しかった。剣杜が出てきた瞬間も涙が流れ続けてたし」
「俺はかっこいいからなー。どんな世界観でもはまれるからな」
「かっこよかった!!また椛のファン増えそうだね!」
虹雫と剣杜は映画が終わった後に、大盛り上がりで語り合っており、宮はそれを温かい目で見つめていた。
それはいつもの変わらない光景だ。