△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
1話「3人のタイムリミット」



   1話「3人のタイムリミリット」


 「遅いぞ、虹雫(りあ)!」
 「剣杜(けんと)遅れてごめんね。宮(みや)は?」
 「もう店についてるって」
 「そうっか。遅くなっちゃったな」
 「いいさ。あいつは暇人なんだから」

 美作虹雫をタクシーに乗り出迎えたのは、幼馴染だった。
 彼はここにはいない、もう1人の幼馴染を羨ましそうに言う。それは、いつもの光景だった。
 今日は、仕事終わりに幼馴染達と会う日になっていたのだ。



 虹雫、宮、剣杜。
 この3人は、幼い頃からの幼馴染だ。高校までは一緒に学校に通っていたが、大学や就職先はバラバラ。だが、大学の頃はほぼ毎日会っており、社会人になっても最低でも月に1回、多い時で2,3回会っているほどに仲がいい。虹雫にとって一緒に居て心地の良い、大切な友人なのだ。


 「剣杜が待ち合わせ通りの時間に来るなんて珍しいね」
 「今日は撮影が早く終わったんだよ。だから、迎えにこれたんだ」
 「ありがとう、感謝してます」
 

 幼馴染の1人である椛剣杜。
 明るい茶髪がよく似合う華やかな容姿の男だ。彼はいつも楽しそうにニコニコしており、愛嬌があるためどこに居ても目に留まり、人気者になってしまう。そんな彼は今はモデルをしている。少し前から始めたばかりなのに、一気に人気が出て、多数の雑誌やブランドの専属モデルに起用されていた。最近は街に出る時はマスクやお気に入りの円形フレームのサングラスをして顔を隠さなければいけないほどだ。けれど、そんな不便な生活さえも「有名人っぽくと楽しい」笑ってしまうところが彼らしいと虹雫は思っていた。
 そんな彼が仕事終わりにタクシーで虹雫の所まで迎えに来てくれたのだ。


 「虹雫、おまえ体調悪い?」
 「え、大丈夫だよ……」



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