△は秘密色、○は恋色。~2人の幼馴染みを愛し、愛されてます~
「宮っ!どうしたの?」
「お疲れ様。仕事、終わった?」
「うん。終わりだけど、何か用事でもあった?」
「いや、虹雫に会いに来たんだ」
「え……」
虹雫は思わず変な声を上げてしまう。
宮は3人で会うことはあっても、2人で用事もないのに会う事はほとんどなかった。前回のプレゼントを探したり、何か理由がなけらば自分から虹雫を誘う事はなかった。幼馴染だから、昔は「どこか寄って帰るか?」と遊んでくれたけれど、大学生ごろからそういう事もなくなっていた。
だからこそ、自分に会いに来てくれた事が虹雫には嬉しかった。
「あぁ……。いや、用事はあるんだ。これ、剣杜から預かってきた」
そう言って、昨日剣杜が持って帰った部屋の鍵を虹雫に手渡した。
そうか、やはり何か用件がなけらばわざわざ会いに来ることもないか。虹雫は、胸の奥がチクリと痛んだ。けれど、それを表情には出せない。宮はすぐに気づいてしまうのだから。
「わざわざありがとう。次の食事会の時でよかったのに」
「いや。虹雫に話したいことがあったから。少し時間貰える?」
「う、うん……」
宮は申し訳なさそうに虹雫に顔を覗き込む。
その綺麗な顔が近づいて、思わずドキッとして声が震えた。宮が自分と話がしたい。それが何なのかはわからない。わざわざ会いに来てくれた。2人きりで話せる。
それが嬉しくて、宮は飛び跳ねて喜びたいほどだった。